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【Googleがエネルギー会社】
という言葉を耳にされた方はいらっしゃるだろうか? 僕はtwitterで渡部 薫さんという方をフォローしているのだけれど、僕に関しては言えば彼の言葉を聞くまで耳にした事はなかったし、そもそも現在のGoogleからその姿は想像出来なかった。 そんな彼が最近新たに、同件に関する記事をアゴラへご寄稿された。 今回は僕と同じく、初めピンと来なかったという方のためにエントリを載せる。 まずこちらを解説するに当たって、 「クラウド化に依りあらゆるデータが一定の場所に集まるようになった」 という、とても重要な背景が存在する。 ユーザーはあらゆる端末、例えばiPhone、PC、iPad等からデータセンターへアクセスし、そこでデータの保管/取り出しを行ったり、またクラウド上のアプリケーションを利用し業務をこなす事も可能になった。 しかしそれは手軽過ぎてどこへアクセスしているか、言い換えればどの地域に建設されたデータセンターへアクセスしているかを意識する必要がなくなってしまった。 これがとても大事。 下の図を見て欲しい。 ※ユーザーは端末を介し、どちらのデータセンターへもアクセス出来るものとする これは極端な例だけど、架空会社AとGoogleデータセンターの条件が異なっている事が目に付くだろう。 1.建設地 寒冷地に建設する事はほぼ常識との事で、Aはモスクワ、Googleは世界各所の寒冷地とし、この部分には差を設けない事とする。この際Aが仮にGoogleより規模の大きなデータセンターを所有していても、今回の話しの中でそれは大きな意味を成さない。 詳しくは次へ。 2.稼働時間 周知の事実だが、夜間は電力が安価だ。世界中にデータセンターを持つGoogleは時間差を利用し、常に夜間のみ稼働させる事が出来る。 Aがモスクワに幾つデータセンターを建設しようが、そのどれもが同時刻に朝を迎えてしまうため、夜間のみ稼働させたければ日中は稼働停止するより他ない。 またこちらも、次点の冷却方法に影響する。 3.冷却方法 日中が夜間より涼しい地域なんてまず無いだろう。パソコンを触った事のある方なら、そこからどれほどの熱が生じるか想像に難くないはずだ。 僕はデータセンターの冷却方法に詳しくないが、仮にエアコン冷却するとなると、本来データセンターの稼働に使用する電力をそちらに向けなければならなくなる。また現在進められている水冷方式を採用すれば冷却コストは格段に下がるだろうが、やはりどちらにしろ冷却のためにエネルギーを浪費してしまう。 ※仮説ばかりで申し訳ないが、今回のエントリ内でGoogleは、完全に外気のみの冷却方法へ移行したとする 4.送電距離 これは1の「建設地」の問題でもあるが、電気とは送電距離が長ければ長いほど抵抗に依りロスが生まれる。Googleのデータセンターのほぼ全てが、どうやら発電所のかなり近くに建設されている模様。 これはこれからデータセンターを所有する企業も可能なので比較の面では重要でないが、実は今回の話しのキモの部分である。 ※因みに発電所周りの地価が近い将来更に高騰すると筆者は予期する というワケでかなりざっくり言ってしまうと、Googleは現在省エネしてるという事になる。 しかし省エネも馬鹿に出来ないモノで、エネルギーロスが少なければ本来使用したい部分に大量のエネルギーを送り込む事が出来るため、コストは勿論、大量のデータを許容する事も可能だ。 そして「4のキモ」の真意は、データは電気と違いロスしないという事。(少し極論) メールの内容が消えてしまうことを恐れてデータセンターと自分との位置を気にする方はいないだろう。 僕は渡部さんの記事を目にしたときに惣菜屋を思い浮かべた。 「ホカ弁」がクオリティの高いお弁当を低価格で販売出来ていたのは、一箇所集中で大量の惣菜を生産していたからに他ならない。つまりエネルギー効率がとても高いのだ。 Googleのやろうとしている事はこれにとても似ていて、彼等は発電所の近くで電気をデータという真空パックに詰め、電気のまま送信すると1%しか残らなかったエネルギーをほぼ100%の姿で送り届ける、まさしくエネルギー会社へと変貌を遂げようとしている。 もしかすると誤解しているかもしれないが、僕はそれを「間接的な電力会社」と位置付ける。 少し長くなってしまったが、あともう少し述べておきたい事がある。 渡部さんはまた別のところで、ソフトバンクの最大の過ちの一つに「通信事業者となってしまった事」を挙げられている。 こう書くと誤解を招くが、彼ほどソフトバンクの「孫 正義」社長を慕っている方はいない(と、twitterで伺える)し、僕も、失礼だが、あの情熱溢れる真摯なおじちゃんが大好きだ。 しかしこの点は僕も同意する。 ここにもモチロンGoogleという背景が存在する。 通信事業者がその通信インフラを敷けば敷くほど、Googleはロスしないデータを思いのまま送り届ける事が出来る。両者は切っても切り離せない関係だが、全国津々浦々までインフラを敷設しなければならない通信事業者と違い、この「間接的な電力会社」は、文字通り発電所の近くにデータセンターを建設すれば良い。 規模の面で建設費は通信事業者側が圧倒的に大きくなるが、力関係は対等、もしくはGoogle側に軍配が上がるだろう。 Googleも通信インフラを開発している。 しかし僕の憶測だが、彼等は全国津々浦々にまでその糸を張りめぐらさないのではなかろうか?極端な事を言えば、技術を売って通信事業者に敷設させ、その後買収しても良い。何しろリスクは小さく、力は対等以上なのだから。 というワケで、『彼の記事見たとき既に理解したよ!』という方には迷惑な文字数だったが、少なくとも「Googleのヤバさ」は伝わったと思う。 彼等はやがて世界中のデータセンターを席巻し、通信事業者を意のままに操り、そして彼等が電力そのものを手中に収めたとき、電力会社の目の前にかつてない敵としてその姿を現すだろう。 触らぬGoogleに祟りなし。 僕達はその"カミ"を徹底的に利用しよう。 ※補足 実は今回Aの建設地を、初め「北海道」に設定していた。 しかしリンク元記事へ、まさに北海道へ大規模データセンターを建設予定のさくらインターネットさま、その社員の方からコメントが寄せられていた。 僕はもちろんそちらの社員ではないし、内部の事情も分からない。また彼のコメントに納得する部分もあったため、建設地を寒冷地として想像し易いモスクワとさせて頂いた。 どうやら彼によると、日中も空調、つまりエアコン冷却は必要ないとの事。 またRTT(今回の例ではデータがセンターへ向かい、それを受け取るまでの時間ロス)の面を考慮すると、Googleの様に月を追い掛ける方法にメリットがあるかは疑問と。 疑問に感じたのは、月を追い掛けなくても空調は必要ない様子だが、更にエネルギーロスを考慮した外気のみの冷却方法だとどうなのか? また僕の理解力の問題でどうでも良い事だが、 「APIを利用してお客様自身が月を追いかけてインスタンスを移動させる」というのは、 月を追う事に依ってデータセンターの利用コスト削減を叶えたGoogleを顧客が選択する、という表現だろうか? 究極のエネルギー効率を考えると、また将来それが必要になるとするとやはり渡部さんのご意見に傾倒してしまうが、少し立ち止まって考えるにはかなり建設的なコメントだと感じた。 ※追記 さくらインターネットの田中さまを社員の方と紹介したが、創業者の方だった。 誠に失礼致しました。 素人が口を出す事は憚られるが、疑問に感じた部分を伺ってみようと思う。 PR |
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